
生産から飲食までを束ねる大熊町の拠点がグッドデザイン賞に
福島県双葉郡大熊町にある「農業」と「食」をテーマにした複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2026年度グッドデザイン賞」を受賞しました。この施設は、大熊中央産業拠点プロジェクトとして整備されたもので、株式会社コネクトアラウンドが運営しています。
建築面では、株式会社クリーク・アンド・リバー社(C&R社)の建築グループが企画設計と建築PMを担いました。クリエイティブディレクション、マスタープラン、意匠設計は株式会社NOTEが手掛けています。
審査員は、このプロジェクトを大熊町で食をテーマに据えた地域拠点と位置づけました。そのうえで、大屋根と半屋外空間で緩やかにつなげることにより、ふだんは分断されがちな「生産・加工・消費・交流」のサプライチェーンを一体化することに成功している、と評価しています。あわせて、地域再生を目指す民間主導の取り組みとして応援したい、とのコメントも寄せられました。

「連なるノキシタ」が人と機能をつなぐ
施設のコンセプトは「食にまつわる体験がノキシタでつながる場所」です。農産物の生産・加工・販売に加え、飲食やワークスペースの機能も備えており、食を通じて人や地域がつながる場づくりを進めています。建物は、農業生産エリア、レストランエリア、ワーケーション滞在エリア、そして半屋外・屋外の空間で構成されています。訪れた人は、食べる、買う、知る、遊ぶといったさまざまな体験ができます。
建築コンセプトは、更新性・透明性・滞在性を備えた「連なるノキシタ」です。生産・加工・出荷・消費・滞在など、それぞれバラバラの機能を持つ建物をひとつの屋根でつなぎ、建物と建物の間にあえて軒下を生み出しました。この軒下が、地元の方々と訪れる方々を緩やかにつなぐ空間になっています。
施設の主な概要
- 所在地:福島県双葉郡大熊町大字下野上字原94-5
- 敷地面積:13,967.80㎡
- 建築面積:1,451.68㎡、延床面積:1,282.87㎡
- 用途:工場(栽培室、加工場)、レストラン、マーケット
- 構造:木造 地上1階建て
- 建築完成:2025年5月23日、操業開始:2025年6月14日
- ビニールハウス:延床面積2,184.00㎡(用途は農作物生産)
設計などに携わった主な関係者
設計などに関わった関係者のうち、主な顔ぶれは次のとおりです。
- 栽培ユニット:スパイスキューブ・須貝翼
- 栽培技術・知財提供:明治大学
- ビニールハウス設計・施工:AGS・向後武彦
- フードディレクション:UMEZOO・梅津信吾
- 食品加工コンサルティング:ドーワテクノス・江川慎司
- ブランドプランニング:ジャンブルジャンクション・加藤寛之
- 施工:クレハ建設

原子力災害からの地域再生に向けた運営会社の歩み
運営するコネクトアラウンドは、「人」「農業」「食」を軸に、持続可能な地域づくりと多様な人材の活躍を推し進めることを目的として、2022年4月に設立されました。2023年2月には川崎市中原区に「FUN EAT MAKERS in Musashi-shinjo」を開き、リーフ野菜の生産・販売を手掛けてきました。あわせて、多様な人が能力や特性を活かして活躍できる農業・食品事業モデルの構築にも取り組んでいます。
同社は2022年10月、経済産業省の「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金(製造・サービス業等立地支援事業)」第7次公募の事業者として採択されました。東日本大震災に伴う原子力災害で大きな影響を受けた福島県双葉郡大熊町で、農業生産から加工、販売、飲食までを一体化した事業を通じ、地域産業の再生と新たな雇用の創出に取り組んでいます。2023年1月には大熊町と「企業立地に関する基本協定」を結び、2025年6月に「FUN EAT MAKERS in Okuma」を開設しました。
同施設は、大熊町の新たな交流拠点として持続可能な地域づくりに取り組んでいます。また、コネクトアラウンドは農業、食、交流、就労支援の機能を融合させ、多様な人々が活躍できる環境づくりを進めるとともに、大熊町から持続可能な地域創生モデルの実現と発信に取り組んでいます。





